夜を繋いで君と行く
* * *
4度目の、律の寝室だった。律の手がそっと怜花のものを引く。
「一緒に寝るの、平気?」
「平気だよ。律から先どうぞ。」
ふっと手が離れ、律がベッドに入った。怜花もその後に続いて、今まで通り反対側からベッドに入る。掛け布団の中に体を鎮め、まっすぐに天井を見つめた。横からは視線を感じる。
「…怜花。」
「何?」
「…もっと近付いても、いい?」
「…そんなこと、聞かなくても大丈夫。律のことは怖くないよ。」
きっと普通の恋人ならば、好きだと言い合い想いを確かめ合った後には、何も考えず服なんて脱ぎ捨てて体で愛を確かめ合ったのかもしれない、なんてことを思う。しかしそれを律はしない。それがわかるくらいには、律の瞳には不安が揺れていた。
「…無理は、してない?」
「…してないよ。大丈夫。」
怜花はそっと律との距離を縮めた。今までずっと律に背を向けて眠っていた。それが正しい距離だと思っていた。しかし、そうして自分が見せていた背が、こんな瞳で見つめられていたことをあの時知っていたら、本当は振り返ってあげなくてはならなかったように思う。あの時振り返れなかった代わりに、今は近付ける。自分から。
少し見上げると律の顔がある、そんな位置まで来た。律の額が重なる気がして、怜花はぎゅっと目を閉じた。すると唇に小さく甘い音が乗った。
「目瞑ったら、キスされちゃうよ、俺に。」
「…いいよ。」
「いいの?」
「…自分からできないだけで、嫌じゃないよ。…私からできるようになるまでは多分…待たせちゃうから。そこまで待ってって言うのは酷でしょう?」
「…待てなくはないけど、じゃあ俺がしたいときにしていいんだ?」
「うん。…私からは、ちょっとまだ…待ってほしい。」
「うん。…いくらでも待てるし待ってる間に俺がしちゃえばいいんだもんね。」
声に少し、温度が戻ったような気がする。そう言った律は再び、怜花の唇に自分のものを重ねた。優しいキスが途切れずに降ってくる。その甘さと優しさと、少しだけ滲む不安に、怜花は全てを預けて目を閉じた。
4度目の、律の寝室だった。律の手がそっと怜花のものを引く。
「一緒に寝るの、平気?」
「平気だよ。律から先どうぞ。」
ふっと手が離れ、律がベッドに入った。怜花もその後に続いて、今まで通り反対側からベッドに入る。掛け布団の中に体を鎮め、まっすぐに天井を見つめた。横からは視線を感じる。
「…怜花。」
「何?」
「…もっと近付いても、いい?」
「…そんなこと、聞かなくても大丈夫。律のことは怖くないよ。」
きっと普通の恋人ならば、好きだと言い合い想いを確かめ合った後には、何も考えず服なんて脱ぎ捨てて体で愛を確かめ合ったのかもしれない、なんてことを思う。しかしそれを律はしない。それがわかるくらいには、律の瞳には不安が揺れていた。
「…無理は、してない?」
「…してないよ。大丈夫。」
怜花はそっと律との距離を縮めた。今までずっと律に背を向けて眠っていた。それが正しい距離だと思っていた。しかし、そうして自分が見せていた背が、こんな瞳で見つめられていたことをあの時知っていたら、本当は振り返ってあげなくてはならなかったように思う。あの時振り返れなかった代わりに、今は近付ける。自分から。
少し見上げると律の顔がある、そんな位置まで来た。律の額が重なる気がして、怜花はぎゅっと目を閉じた。すると唇に小さく甘い音が乗った。
「目瞑ったら、キスされちゃうよ、俺に。」
「…いいよ。」
「いいの?」
「…自分からできないだけで、嫌じゃないよ。…私からできるようになるまでは多分…待たせちゃうから。そこまで待ってって言うのは酷でしょう?」
「…待てなくはないけど、じゃあ俺がしたいときにしていいんだ?」
「うん。…私からは、ちょっとまだ…待ってほしい。」
「うん。…いくらでも待てるし待ってる間に俺がしちゃえばいいんだもんね。」
声に少し、温度が戻ったような気がする。そう言った律は再び、怜花の唇に自分のものを重ねた。優しいキスが途切れずに降ってくる。その甘さと優しさと、少しだけ滲む不安に、怜花は全てを預けて目を閉じた。