大好きな旦那様が見えなくなってから、本当の夫婦になるまで

 自分自身も妊婦でこれから出産まで大変なのに、私のことを心配して辺境地に来てくれたのだ。それなのに巻き込んでしまった。

(私が……倒れなければ……ううん、もっと早く旦那様と向き合っていれば……)
「何よりアルバートとベアトリーチェの婚約を裏で手を回していたのが、マルクヴェイ公爵家(ベルナルド)だ。だから君とベルナルドが上手くいかないよう手を回していたのに、結婚を許してしまった。仕方ないから、できるだけベルナルドが領地を離れるように画策して、君が情緒不安定になるように飲み物も細工をして――ああ、本当に長かった!」
(ずっと……本当にずっと前から……!)

 ベルナルド様と王家を徹底的に潰すための執念に、ゾッとしてしまった。結婚して三年、ベルナルド様は屋敷に戻ろうとしなかったのではなく、()()()()()()()()()()()()()()
 私のことを嫌っていたわけでも、疎んでいたわけでもなかった。バラバラだったパズルのピースが埋まって全体像が浮かび、その事実に私は脱力してしまう。

(一緒に居る時間が少なかったのは、旦那様の意志じゃなかった……?)
「今頃、教頭のところにも贈り物が届いているはず。ローマン教頭は途中まで協力関係だったのに、あっさり裏切って、聖女アイリスと結ばれて幸せになった。だから次は喪失と絶望に打ちひしがれて、心が壊れてしまえばいい。どちらでも私にとっては最高の結末だ」
(アイリスまでも……!)

 ルディー様はもう自分が壊れていると自覚して、私がルディー様と同じ場所に周りが落ちてくるように仕向けたのだ。遅滞性の毒で周囲を道連れにすることだけしか考えていない。
 彼にとって心が壊れたこの世界は、地獄そのものなのだろう。それを終わらせるため周囲を巻き込んで、国を滅茶苦茶にした。

(バッドエンドを回避したと思い込んで私は、ルディー様のヤンデレ化にも、ベルナルド様の真意にも気付かずに……アイリスとベアトを巻き込んで死なせてしまった)

 後悔が今さら押し寄せてくる。
 どう足掻いても、時間は巻き戻らない。
 私がこの世界に呼ばれたのは、この世界の悲しみを止めるためだったのなら、転移されてよかったと思えた。大好きなキャラたちが死なないで済むのなら、こんなに嬉しいことはない。
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