大好きな旦那様が見えなくなってから、本当の夫婦になるまで

第15話 もう愛さない

 連続的な爆発は連日連夜続き、ようやく静まった頃だったか。

絶対零度(アブソリュートゼロ)解放(・リリース)

 耳馴染みのある声。
 一瞬で凍り付く空間に、眠りつつあった意識が浮かび上がる。
 重たげな瞼を必死で持ち上げると、男が姿を見せた。全身真っ黒なコートに身を包み、手袋や軍服、靴までも黒で統一した――まるで烏のよう。

(ああ……ようやく……)

 薄らと旦那様の、ベルナルド様の姿が一瞬だけ見えた気がした。絶対零度の冷気を纏って私の前に大股で歩み寄る。

 私の死神。
 この頃には世界樹の枝は腕の太さほど大きくなり、薔薇の花はいくつも結晶化して床に転がっていた。どれだけの人の魔力を吸い尽くしたのだろう。
 夢心地の意識の中、ぼんやりと考える。
 周りは氷によって凍結しているのか、魔力吸収している様子はない。

(ベルナルド様の氷華魔法……で、樹木そのものを凍結した?)
「――、――――」

 声をかけているように、よく聞こえない。
 ベルナルド様が、私を殺す。この世界にとって厄災そのものとなった私を終わらせてくれるが、ベルナルド様でよかったのかもしれない。

(ああ、でも、嫌な役を押しつけてしまったわ)
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