大好きな旦那様が見えなくなってから、本当の夫婦になるまで
(無理だ。それでも俺は……)
『何をオカシなことを言い出すのかと思えば、来世にでも託すのか?』
「!?」
それはルディーの声だ。
声だけだった。魔力も感知できないのを鑑みると、魂だけの存在になってここに留まっているのだろう。相変わらず悪趣味な奴だ。
ルディーですら俺の言葉に『来世』だと解釈しているのだ、シャルも同じように受け取ってもしかたない。圧倒的にコミュニケーション不足だった。
(時を戻す。三年前、いや、それじゃダメだ……)
今の俺の魔力だと、三年よりも前に戻るのは難しいだろう。だから俺は床に落ちている《赤い果実》と同じ色の真っ赤な薔薇を口にして、無理矢理魔力を強化させた。
「あ、がっ……ぐっ」
体中に激痛が走り、骨が悲鳴を上げ、血が噴き出しても耐えた。
シャルはもっと痛かったはずだ。
もっと苦しかったはずだ。
時戻りで、三年前、いや、あの時間軸に戻らなければならない。
(俺のことが……好きじゃなくなったとしても、俺との記憶を忘れてしまっても、……嫌だけれど、それでも──シャルの笑顔だけは今度こそ、守ってみせる。たとえシャルが俺を好き……なってほしいけれど、好きにならなかったとしても……だとしても!)
懐中時計の針が逆回りを始め、金色の光が世界を包み込む。温かな光の中で、シャルの唇に触れた。
バッドエンドの未来を、寸前で時を巻き戻す。
絡み合った歯車が金色の光と共に、一度だけ奇跡を起こした。
BAD END?
NO.
AND THE END BEGINS……….