彼と妹と私の恋物語…結婚2週間で離婚した姉が再婚できない理由…

「だけど、勘違いしないでくれ。仮に、彼女が君を本気で選んだなら。その時は、素直に離婚に応じて身を引こうと決めていたから」
その告白に、佐藤は一瞬言葉を失った。だが、すぐに納得したように大きく息を吐いた。
「…そこまででしたか。あなたの覚悟は、俺の想像を遥かに超えていた。…完敗です。俺の出る幕なんて、最初からどこにもなかったんですね」
その表情は、驚きよりも、二人の絆の深さに感銘を受けたような、清々しいものだった。

佐藤は改めて立ち上がると、秋太に向かって深く、深く頭を下げた。
「だからこそ、頼みます。どうか、彼女を…茅野楓という一人の女性を、今度こそ絶対に幸せにしてやってください。これは、彼女に惚れた一人の男としての、最後の、そして唯一の願いです」

その真っ直ぐな想いを受け止め、秋太もまた、佐藤に向き直った。
「…ああ、約束する。君のその想いも、すべて僕が引き受ける。生涯をかけて、彼女と柊を守り抜くと、ここに誓おう」

秋太が差し出した手を、佐藤は力強く握り返した。
「礼を言うよ、佐藤さん」
「いえ…」
手を離した後、秋太は少し照れたように笑った。
「これからは、恋敵じゃなくて…友人として、僕と楓の力になってくれないか」

その言葉に、佐藤の顔がぱっと明るくなる。
「ええ、喜んで!副社長…いや、秋太さん。これからは親友として、二人の一番の味方でいますよ」

それは、一人の女性を心から愛した二人の男の魂が、ライバルという関係を超え、固い友情で結ばれた瞬間だった。

副社長室を出た佐藤の足取りは、驚くほど軽やかだった。最高の女性に恋をし、最高の親友を得たのだ。これ以上の結-結末はない。
佐藤は、前を向き、新たな一歩を踏み出した。
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