彼と妹と私の恋物語…結婚2週間で離婚した姉が再婚できない理由…
「お前がそこまで決めているなら、止めない。でも、いつでも帰ってきていいぞ。べつにじいちゃんの家の子供になっても、ここはお前の家だからさっ」
秋太は小さく頷いた。
秋太は養子に行く目的が二つあった。
1つはトワの負担を軽くしたいという思い。
そしてもう一つは…好きな女の子を守れる男になりたいと思ったから。
夜空を見上げた秋太は、小さくため息をついた。
「僕は…強くなれただろうか…。7年前、彼女を守ることができなかった。…でも今は、絶対に…」
ギュッと拳を握り締める秋太。
その時、秋太のスマホが鳴った。
画面表示には…母の表示が…。
「…もしもし…」
怪訝そうに電話に出た秋太。
(秋太…ごめんなさい、私のせいで…)
秋太は黙ったまま何も答えなかった。
(…私は…あなたにずっと嫌われているのね。…学校にも来るなって言われたし。…養子に行っても一度も家に帰ってこなかったものね)
何かを言い返したいのに、秋太は言葉にならなかった。
胸の奥から込みあがってくる何かが、喉の奥で詰まっていた。
(私。あなたが時々家に来ていたの知っているわ。いつも…あなたに気づいて追いかけたけど、見失っていたの。…ごめんね、この足じゃ無理よね。…いつもいつけなくて悔しかった。…それでも…私は、あなたの母親になれて幸せだった。…あなたを産んで本当によかったって、心から思ったの。…だから…だからね、私…楓さんにやきもち焼いてしまったの…)
え?と、意外な言葉に秋太はハッとなった。
(楓さんをあなたが連れてきた時、いつどこで、素敵な人を連れてきてくれたって思ったの。でも…私より近くにいる楓さんを見ていたら、母親なのに近づけない自分が腹ただしくて。つい、楓さんに嫌なことを言ってしまったの。…せっかく戻ってきてくれたのに。楓さんは、私より料理が上手だし。家事もてきぱきこなしてしまう。…何より、あなたにすごく愛されていることが…悔しくてね…)
トワの意外な思いに、秋太はスーッと気持ちが楽になるのを感じた。
楓にやきもちを焼いていたなんて…それに…トワが、家に行った自分を追いかけてきていたなんて…。
(秋太。…私に気を使ってくれていたのね、ありがとう。…お父さんが、冬太から聞いていたの。…)
「あっ…」
兄貴のやつ喋ったのか…と、ちょっと照れ臭くなった秋太。
少し頭を核ながら、口をごにょごにょ動かしている。
(…私、冬太と桃子の時も、ずっと陰口言われていたから慣れっこだったのよ。…だから、何を言われても意にならないの。お父さんが言っていたわ。ハンデがあっても、素敵だって。だから…本当は、秋太ともっと一緒にいたかったの。…ごめんね…嫌われたんだって、勝手に思い込んでしまって…)
「…僕も…ごめん…」
すっと素直に出てきた言葉に、秋太自身も驚いた。