私の婚約者は隠れSP!? 〜毎日が甘くて溶けそうです〜
庭園に出ると、夕暮れの空がオレンジ色に染まり、遠くの木々がシルエットとなって浮かんでいた。私は一人で歩き始めたが、悠真は少し離れた場所で私の後ろをついてくる。
振り返ると、彼の視線が私をしっかりと捉えていた。その目は、まるで私がどこかへ消えてしまうのを恐れるように、真剣だった。
「遥さん、大丈夫ですか?」
彼の声に、私は立ち止まる。風が私の髪を揺らし、夕方の涼しい空気が頬を撫でる。それなのに、胸の奥は熱くて、息苦しい。
「大丈夫……ただ、ちょっと考え事を」
そう答えると、彼は静かに近づいてきた。そして、そっと私の手を握る。その温もりに、胸がぎゅっと締め付けられる。どうして、こんなにも自然に私の心を揺さぶるのだろう。