私の婚約者は隠れSP!? 〜毎日が甘くて溶けそうです〜
夜、寝室に戻ると、悠真はいつものようにベッド脇に立ち、ブランケットを丁寧に整えてくれた。柔らかな光がランプからこぼれ、部屋全体を温かく照らしている。
私はベッドの端に腰かけ、彼の動作をじっと見つめた。こんなにも丁寧に、私のために動いてくれる彼。心のどこかで、それが怖いと思う自分がいる。
「寒くありませんか?」
彼の声は、いつも通り穏やかで優しかった。私は首を振るが、声が小さく震える。
「はい……でも」
その言葉を遮るように、彼はそっとベッドに腰を下ろし、私の肩を抱き寄せた。突然のことに、息が止まる。胸の奥で、理性と感情がせめぎ合う。
「僕の腕の中なら、安心できますよ」
その言葉に、私は小さく頷くしかできなかった。彼の腕は、まるで私の不安をすべて包み込むように温かかった。政略婚だから――と何度も自分に言い聞かせるのに、心は完全に彼に支配されている。
この温もり、この安心感――すべてが、私を彼に近づけていく。愛される資格なんてないと思っていた私を、こんなにも優しく受け止めてくれる彼。その存在が、私の心をどう変えていくのか、怖いのに、知りたいと思う自分がいた。