愛妾を抱く冷徹皇太子に嫁ぎましたが、逆転して唯一の妃になりました
気づけば、ラファエルはもう隣で穏やかな寝息を立てていた。

先ほどまで私を激しく求めていた人とは思えぬほど静かな寝顔。

その横で、私は自分の体にまだ残る余韻を感じていた。

深く注ぎ込まれた彼の熱――それが今も私の奥に残っていると思うと、胸がじんと熱くなる。

「はぁ……」

思わずため息が零れる。

ふと視線を落とすと、真新しいシーツに赤い染みが広がっていた。

私は顔を赤らめて小さく呟く。

「激しかったからかしら……」

その声に反応したのか、ラファエルが目を覚まし、冷静な声で言った。

「それは純潔の印だ。」

「……っ!」

頬が一気に熱くなり、かぁっと赤く染まる。

羞恥で視線を逸らす私をよそに、彼は淡々と続けた。

「明日の朝、そのシーツを侍女に見せるといい。結婚の証だからな。」

「えっ……」

私の心はさらに乱れる。愛を交わした証を、人の目に晒せと言うのか。

まるで形式のためだけの行為だったと告げられたようで、胸の奥に小さな痛みが広がった。
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