推しのマネージャー(※ほんとは護衛)になりました。 ~アイドルたちの溺愛がとまりません!~
「烈火獣・滅・急急如律令!」
耳に届いた声と同時に、部屋の扉がごうっと音を立てて燃え、破壊された。
「紗南! 無事か!?」
助けにきてくれたらしい悠月の陰陽術によって、宝条さんの手がわたしから離れた。
床に倒れ込んだ宝条さんは、頭を抑え込んでいる。
「ゆ、づき……」
「頼むから……一人で突っ走って無茶すんの、もうやめて」
悠月に抱きしめられる。
その力がすごく強くて驚いたし、悠月の身体が震えていることにも気づいてしまった。
……すごくすごく、心配をかけちゃったみたいだ。
「っ、ごめんね、悠月。もう大丈夫だよ。……助けてくれて、ありがとう」
わたしは立ち上がって、式札を持ち、蹲っている宝条さんに向ける。
「宝条さん。今、助けるからね」
「ぐううっ……なに、を……」
「六根清浄・急急如律令!」
そう唱えれば、宝条さんの身体に纏わりついていた黒いもやが、みるみる消えていく。
「……あら? わたしは、一体何を……?」
虚ろな目をしていた宝条さんは、ようやく正気に戻ったみたいだ。よかったぁ……。
ホッとしていれば、廊下からバタバタと足音が聞こえてくる。