推しのマネージャー(※ほんとは護衛)になりました。 ~アイドルたちの溺愛がとまりません!~


「紗南ちゃん、無事やんな!?」


顔を出したのは、星穏さんだった。そして、その後から潤さんと有栖さんもやってきた。
音楽室にいるわたし、悠月を見てから、三人の目は宝条さんに移る。


「もしかして、君が紗南ちゃんを……」


潤さんが、低い声で宝条さんに問いかけようとする。
宝条さんは、ビクリと肩を震わせて怯えているみたいだ。
わたしは咄嗟に、宝条さんの前に出た。


「あの! 実は彼女は、わたしと同じクラスの友達なんです!」

「……紗南ちゃんの、友達?」

「はい! 少し話があって……それで戻るのが遅くなっちゃったんです。心配かけちゃって、ごめんなさい!」


笑って謝れば、後ろから、戸惑ったようなか細い声が聞こえてきた。


「ど、どうして……」


どうやら宝条さんは、自分がしてしまったことは覚えているみたいだ。
その顔は後悔の色でいっぱいになっている。
でもそれは、セイレーンの呪いの影響のせいもあったんだって、わたしには分かるから。


「宝条さん。明日のライブ、楽しみだね」


そう笑いかければ、宝条さんは、ぽろぽろと大粒の涙を流した。

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