推しのマネージャー(※ほんとは護衛)になりました。 ~アイドルたちの溺愛がとまりません!~


「宝条さん、言うんやな。明日のライブ、絶対に見にきてな。絶対に楽しませてみせるから」

「っ、はい。絶対に、絶対に見に行きます……」


星穏さんたちも、わたしと宝条さんの間に何かあったってことは察したみたいだけど、わたしが何も言わないから、あえて聞かずにいてくれるみたい。
星穏さんと話している姿を静かに見ていたら、隣にいた悠月に手をぎゅっと握られる。


「悠月、どうしたの?」

「どうしたの、じゃない。……本当に、心配した。顔にこんな傷まで作って……紗南は、もっと自分のことを大事にして」


悠月は、わたしの左頬にそっと触れながら、痛そうな、悲しそうな顔をして、グッと眉を寄せている。


「うん、分かったよ。心配かけてごめんね」

「……それじゃあ、しばらくおれから離れるの禁止だから」


素直にうなずけば、悲しそうな顔から一変して、悠月はそれはそれは不機嫌オーラ全開になってしまった。
うん、ちょっと怖いかも……。

そしてその言葉通り、その後のレッスン中はもちろん、学園から帰ってからも、悠月はわたしの家までべったりくっついてきた。
心配かけちゃったのは事実だから、悠月の好きなようにさせていたんだけど……悠月ってば、トイレやお風呂にまでついてこようとするんだもん!
さすがに無理だから、それはもちろん、きっぱりお断りさせてもらったんだけどね。

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