推しのマネージャー(※ほんとは護衛)になりました。 ~アイドルたちの溺愛がとまりません!~


「紗南ちゃん!」


ステージ裏にはけてきた星穏さんにスポドリを手渡そうとすれば、その前に、星穏さんに抱きつかれた。
……って、抱きつかれてる!? え、これってどういう状況……!?

アワアワしていたら、勢いよく顔を上げた星穏さんが、真剣な目をして顔を近づけてくる。


「……紗南ちゃんは、いつでも優しいよな。おれ、勘違いしてしまいそうや」


まるで、愛の言葉を囁く時のような、甘くしびれるような声。
突然の展開に目を白黒させて固まっていれば、次は有栖さんがやってきた。


「でもさぁ、紗南ちゃんは、何だかんだで、おれが一番って思ってくれてるんじゃない?」


有栖さんは、目を細めて二ッと笑ったかと思えば、わたしの頬をするりと撫でてくる。


「頑張り屋さんの紗南ちゃんには、おれがチューしてあげよっか」

「な、なっ……」


連続での破壊力がすごすぎて固まっていれば、今度はやってきた潤さんに、片手をつかまれた。
そのまま手の甲に、チュッとリップ音を立ててキスされる。


「紗南ちゃんは、俺を推してくれるよね? そしたら世界一、愛してあげるよ」


膝をついた状態で、上目遣いに見つめられる。
ドキドキしっ放しの心臓が、そろそろ限界を迎えそうになっていたところで。


「――紗南」


最後にやってきたのは、悠月だ。

< 108 / 109 >

この作品をシェア

pagetop