反抗期の七瀬くんに溺愛される方法
 結局結果は惨敗。私が入れたシュートはその一度だけだった。それでも、頑張った自分を誇らしく思えた。

 その直後、体育館ではバスケの決勝戦が始まろうとしていた。
 夏樹はバスケ部のエース。
 コートに立っている、ただそれだけなのに、いつもとは違って見えた。
 小春の胸は高鳴り、手に汗を握る。誰よりも応援したい――そう思う気持ちが自然と声になった。

「絶対勝ってよ!」
 思わず手首の青いリストバンドを外し、勢いよく投げた。

 受け取った夏樹は、一瞬だけ目を細め、にやりと笑う。
「……うるせー。当たり前だろ」

 その瞬間、小春の胸はぎゅっと熱くなり、息をするのも忘れそうになる。

 夏樹は片方だけの青いリストバンドを着け、コートに立っていた。
 汗で濡れた髪が額に張り付き、真っ直ぐな瞳でゴールを見据える姿は、まるで時間が止まったかのように美しく思えた。
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