反抗期の七瀬くんに溺愛される方法

「……そうだよね」

「そうだよ。だから、小春がちゃんと話してみなよ。“どうして避けるの？”って。きっと、ちゃんと答えてくれると思う」

　メロンソーダのグラスの中で、泡が小さくはじけた。
　小春はストローを持つ手に力を込めて、小さく頷く。

「……うん。ありがとう、凛。私、もう少し頑張ってみる」

　凛はにっと笑って、親指を立てた。
「その顔、その調子！　大丈夫、うまくいくよ」

　その励ましに背中を押されて、
　小春の胸の中で、迷いが少しずつ溶けていった――。

　ふっと空気がやわらいだところで、小春がぽつりと尋ねる。
「ねぇ、凛は？　誰かいい人いないの？」

「え？」
　一瞬、凛の手が止まる。
「うーん……どうだろ。最近、ちょっと気になる人は――いるかも」

「えっ！　そうなの!?　誰!?」
「ひみつ」
　そう言って、凛はメロンソーダのグラスを傾ける。
　その横顔は、少し照れていて、でもどこか嬉しそうだった。