もしも、あっちの部活を選んだら?
「練習試合、楽しみだな」
五月中旬の土曜日。今日は初めての他校との練習試合があるんだ。
午前中は体育館で練習をして、午後から電車に乗って相手の中学校に行く。
電車なんて普段は乗らないからちょっとしたお出かけ気分。
「お昼は駅近くのハンバーガー屋さんで食べようか」
東先輩の一言でがぜんテンションが上がる。
ハンバーガー、実は私の大好物なんだよね。
グーっとお腹が鳴る直前にハンバーガー屋さんに到着した。
どれにしようか迷っちゃうな。
色々迷ったけどビッグサイズのハンバーガーと期間限定のチキンバーガーを頼んだ。
私のメニューを見たコウは「やっぱりめっちゃハンバーガー食べるじゃん」と笑っていた。
コウったら本当デリカシーに欠けているんだから。
大きな声でそんなこと言わないでよ。
これじゃあみんなからハンバーガー女って思われちゃうじゃん。
「よし、そろそろ出発するよ」
東先輩のシャキッとした声を聞いてさっきまでのオフの気分が吹っ飛んだ。
ICカードをかざして改札口を通る。
何だかまるで別な世界の入り口を通り抜けたみたい。
電車に乗るのなんていつぶりだろう?
そう思って昔の記憶を手繰り寄せようとすると。
何これ?
なぜか運動着姿の私が電車に乗っている光景が浮かんできた。
来ているのは中学校のジャージだ。
どうして? 中学に入ってから電車に乗るのは今日が初めてなのに。
時刻表の時間ぴったりに電車が到着する。
「他のお客さん優先だからね。これもトレーニングだよ」
バドミントン部伝統のルールで試合会場までの移動は立ったままなんだって。
他の部活でも似たようなことがあった気がする……。気のせいかな。
駅に着いてから歩いて十分も経たないうちに練習試合の対戦校に到着する。
体育館に入るとすでにバドミントンのコートが三面設置してあった。
「うわー、広いな」
部員の口々から言葉が漏れる。
私の中学校の体育館はいつもは二面しか設置できない。
これなら今日はいっぱい試合ができそうだ。
「男女でそれぞれ試合用に一面、残った一面は練習用だ。喧嘩しないで使うんだよ」
東先輩が慣れた口ぶりで一年生に向かって説明をする。
どうやらこことは昔からよく練習試合を行なっているみたい。
「真澄、やけにソワソワしているな」
コウが苦笑いのような表情で私を見る。
「だって試合ができるんだよ。他の学校の人と試合するのすごく楽しみ」
「真澄が楽しそうにしているのを見ると俺も嬉しくなるよ」
ぼそりとそう言い残してコウはアップをしに走り出した。
ちょっと、何言ってるのよ。
体温が急に上がった気がする。
コウの不意の一言に思わずドキッとしてしまった。
腐れ縁だからってことだよね?
ってこんなこと考えている場合じゃない!
私にはこれから試合が待っているんだ。
ふふ、私が天才ってことをここでも発揮しちゃうもんね。
体を温めるために廊下に向かって走り出した。
五月中旬の土曜日。今日は初めての他校との練習試合があるんだ。
午前中は体育館で練習をして、午後から電車に乗って相手の中学校に行く。
電車なんて普段は乗らないからちょっとしたお出かけ気分。
「お昼は駅近くのハンバーガー屋さんで食べようか」
東先輩の一言でがぜんテンションが上がる。
ハンバーガー、実は私の大好物なんだよね。
グーっとお腹が鳴る直前にハンバーガー屋さんに到着した。
どれにしようか迷っちゃうな。
色々迷ったけどビッグサイズのハンバーガーと期間限定のチキンバーガーを頼んだ。
私のメニューを見たコウは「やっぱりめっちゃハンバーガー食べるじゃん」と笑っていた。
コウったら本当デリカシーに欠けているんだから。
大きな声でそんなこと言わないでよ。
これじゃあみんなからハンバーガー女って思われちゃうじゃん。
「よし、そろそろ出発するよ」
東先輩のシャキッとした声を聞いてさっきまでのオフの気分が吹っ飛んだ。
ICカードをかざして改札口を通る。
何だかまるで別な世界の入り口を通り抜けたみたい。
電車に乗るのなんていつぶりだろう?
そう思って昔の記憶を手繰り寄せようとすると。
何これ?
なぜか運動着姿の私が電車に乗っている光景が浮かんできた。
来ているのは中学校のジャージだ。
どうして? 中学に入ってから電車に乗るのは今日が初めてなのに。
時刻表の時間ぴったりに電車が到着する。
「他のお客さん優先だからね。これもトレーニングだよ」
バドミントン部伝統のルールで試合会場までの移動は立ったままなんだって。
他の部活でも似たようなことがあった気がする……。気のせいかな。
駅に着いてから歩いて十分も経たないうちに練習試合の対戦校に到着する。
体育館に入るとすでにバドミントンのコートが三面設置してあった。
「うわー、広いな」
部員の口々から言葉が漏れる。
私の中学校の体育館はいつもは二面しか設置できない。
これなら今日はいっぱい試合ができそうだ。
「男女でそれぞれ試合用に一面、残った一面は練習用だ。喧嘩しないで使うんだよ」
東先輩が慣れた口ぶりで一年生に向かって説明をする。
どうやらこことは昔からよく練習試合を行なっているみたい。
「真澄、やけにソワソワしているな」
コウが苦笑いのような表情で私を見る。
「だって試合ができるんだよ。他の学校の人と試合するのすごく楽しみ」
「真澄が楽しそうにしているのを見ると俺も嬉しくなるよ」
ぼそりとそう言い残してコウはアップをしに走り出した。
ちょっと、何言ってるのよ。
体温が急に上がった気がする。
コウの不意の一言に思わずドキッとしてしまった。
腐れ縁だからってことだよね?
ってこんなこと考えている場合じゃない!
私にはこれから試合が待っているんだ。
ふふ、私が天才ってことをここでも発揮しちゃうもんね。
体を温めるために廊下に向かって走り出した。