もしも、あっちの部活を選んだら?
「おっはよーう」
教室のドアがいつもより軽く感じる。
ドアを開けるとパッと窓から入る日光がスポットライトのように私に降り注ぐ。
「真澄、今日はいつもより元気がいいね」
「えー、そうかな?」
自分ではいつもと変わらない気がするんだけどな。
「教室に入ってくる時、鼻歌も歌ってたし」
嘘、全然気がつかなった!
「今日は天気がいいから気分も晴れているのかな」
なーんて、言ってみたりしてね。
「竹口さん、聞いてよ。昨日バスケ部の練習試合があったんだけどさ」
花村さんの練習試合って言葉に一瞬ドキッとする。
「美優、大活躍だったんだよ。一年生同士の試合で一人で三十点くらい決めてさ」
「へー、美優すごいじゃん。私はバドミントンでそんな点数とったことないな」
バスケの三十点がどれくらいすごいのか私にはわからない。
「バドミントンは二十一点先に取った方が勝ちだっけ」
「そうそう。デュースになっても先に三十点取れば勝ちなんだ。そこまで競った試合はしたことないけど」
無意識に笑いが漏れ出てくる。
「昨日バドミントン部も練習試合があったんだ。一年生同士で試合をしたんだけど、そこでも私が圧勝しちゃってさ」
頭の中に昨日の試合の風景が浮かび上がる。
試合は一セットマッチ。試合時間が短い分、試合数は多かったんだよね。
ただ、それ以上に。
私が強すぎるから、早く試合が終わって想像以上に試合をすることができたんだ。
気持ちいいくらいにスマッシュが決まった。
どの試合も十点以上は差をつけて勝ったもんね。
そんなことを思い出しながらペラペラと昨日のことを話してあげた。
「それじゃあ相手の学校でも真澄のこと有名になっちゃうんじゃない?」
「そうなんだよね。これじゃあ大会に出たらマークされちゃうよ」
強すぎると大会でも目立っちゃうよね。
みっちり研究されて対策を立てられたら大ピンチだ。
もう、これだから天才は困っちゃうよ。
視線の先にコウの姿が目についた。
「コウ、ちょっとこっち来てよ」
急に名前を呼ばれてコウがびっくりしたようにこっちを振り向いた。
「な、なんだよ」
「いいから、いいから」
コウが気まずそうな顔で私たち女子の集まりにやってくる。
「コウもね、昨日の練習試合、男子の方ではすごかったんだもんね」
「向こうの一年としか試合してないけどな」
コウの戦績もよかったんだ。一人だけ相手の一年生に経験者がいてその人には負けちゃったけど、負けたのはその一回だけ。
ちなみに私は経験者にも勝っちゃったけどね。
私が負けるなんてあり得ないでしょ?
「バドミントンになったらコウもかっこいいんだよ」
「バドミントンになったらって何だよ」
私とコウが笑い合う。
みんなもきっと私たちの会話を聞いて楽しんでいるに違いない。
「美優も昨日バスケの練習試合で活躍したんだって」
「へえ、新木もやるじゃん」
コウに名前を呼ばれて、美優の目が一瞬丸くなったように見えた。
「あ、ありがとう」
「あ、そろそろ朝礼の時間か」
いけない、いけない。あっという間に時間が来てしまった。
ちょっとしか話してないつもりだったのにな。
スマッシュを決めた感覚がまだ手のひらに残っている。
私の強さがクラス中で、いや学校中で噂になっている。
バドミントンも中学校生活も楽しくて仕方がない。
才能があるとこんなに気持ちがいいもんなんだ。
「竹口、静かにしろ」
笹波先生の注意にみんなが私の方を向く。
気がついたら、また鼻歌を歌っていた。
教室のドアがいつもより軽く感じる。
ドアを開けるとパッと窓から入る日光がスポットライトのように私に降り注ぐ。
「真澄、今日はいつもより元気がいいね」
「えー、そうかな?」
自分ではいつもと変わらない気がするんだけどな。
「教室に入ってくる時、鼻歌も歌ってたし」
嘘、全然気がつかなった!
「今日は天気がいいから気分も晴れているのかな」
なーんて、言ってみたりしてね。
「竹口さん、聞いてよ。昨日バスケ部の練習試合があったんだけどさ」
花村さんの練習試合って言葉に一瞬ドキッとする。
「美優、大活躍だったんだよ。一年生同士の試合で一人で三十点くらい決めてさ」
「へー、美優すごいじゃん。私はバドミントンでそんな点数とったことないな」
バスケの三十点がどれくらいすごいのか私にはわからない。
「バドミントンは二十一点先に取った方が勝ちだっけ」
「そうそう。デュースになっても先に三十点取れば勝ちなんだ。そこまで競った試合はしたことないけど」
無意識に笑いが漏れ出てくる。
「昨日バドミントン部も練習試合があったんだ。一年生同士で試合をしたんだけど、そこでも私が圧勝しちゃってさ」
頭の中に昨日の試合の風景が浮かび上がる。
試合は一セットマッチ。試合時間が短い分、試合数は多かったんだよね。
ただ、それ以上に。
私が強すぎるから、早く試合が終わって想像以上に試合をすることができたんだ。
気持ちいいくらいにスマッシュが決まった。
どの試合も十点以上は差をつけて勝ったもんね。
そんなことを思い出しながらペラペラと昨日のことを話してあげた。
「それじゃあ相手の学校でも真澄のこと有名になっちゃうんじゃない?」
「そうなんだよね。これじゃあ大会に出たらマークされちゃうよ」
強すぎると大会でも目立っちゃうよね。
みっちり研究されて対策を立てられたら大ピンチだ。
もう、これだから天才は困っちゃうよ。
視線の先にコウの姿が目についた。
「コウ、ちょっとこっち来てよ」
急に名前を呼ばれてコウがびっくりしたようにこっちを振り向いた。
「な、なんだよ」
「いいから、いいから」
コウが気まずそうな顔で私たち女子の集まりにやってくる。
「コウもね、昨日の練習試合、男子の方ではすごかったんだもんね」
「向こうの一年としか試合してないけどな」
コウの戦績もよかったんだ。一人だけ相手の一年生に経験者がいてその人には負けちゃったけど、負けたのはその一回だけ。
ちなみに私は経験者にも勝っちゃったけどね。
私が負けるなんてあり得ないでしょ?
「バドミントンになったらコウもかっこいいんだよ」
「バドミントンになったらって何だよ」
私とコウが笑い合う。
みんなもきっと私たちの会話を聞いて楽しんでいるに違いない。
「美優も昨日バスケの練習試合で活躍したんだって」
「へえ、新木もやるじゃん」
コウに名前を呼ばれて、美優の目が一瞬丸くなったように見えた。
「あ、ありがとう」
「あ、そろそろ朝礼の時間か」
いけない、いけない。あっという間に時間が来てしまった。
ちょっとしか話してないつもりだったのにな。
スマッシュを決めた感覚がまだ手のひらに残っている。
私の強さがクラス中で、いや学校中で噂になっている。
バドミントンも中学校生活も楽しくて仕方がない。
才能があるとこんなに気持ちがいいもんなんだ。
「竹口、静かにしろ」
笹波先生の注意にみんなが私の方を向く。
気がついたら、また鼻歌を歌っていた。