【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 仕方なくぱくっとスプーンを咥えると、ラウルはまた次も差し出してくる。となれば、それも食べたらまた次も……と、リネットがお腹いっぱいと言うまでそれが続いた。
 もちろん場所は食堂だ。となれば、不特定多数の者が利用する場。
 そしてその様子を、見事エドガーに見られていたというわけだ。
「リネットがかわいくてしかたないのね」
 女性魔法師がくすくす笑いながらそう言うが、ラウルにはもう少し場所と場合を考えてほしい。今朝のような室内で二人きりならまだしも、食堂はダメだろう。
 そう思っていても、ラウルの強引さに負けたのは認める。だって、目の前にずっと食べ物をのせられたスプーンがあって、他の人からも痛いくらいに視線を向けられていたら、それを食べるしかない。他の方法があるなら教えてほしいくらいだ。
「かわいいというよりは、私に死なれては困るから、お世話をしているというだけですよ」
「あぁ、なるほど!」
 それだけですぐに状況を理解したエドガーはぽんと手を叩いた。
「リネットの生活はめちゃくちゃだからね。寝ない、食べない、動かない。なまけものみたいな生活だよね」
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