【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「なまけものは動きが鈍いだけで、きちんと寝て、食べてます」
「てことは、なまけもの以下じゃん」
 エドガーの突っ込みに、リネットはむっとする。
「あの団長さんのおかげで、これでリネットも人間に戻れるよ? なんか、保護者みたいだよね」
 再びエドガーは、ひぃひぃと笑い出す。
「図書館に行ってきます」
 彼の言葉を無視して、リネットは机の上にバンと手をつき立ち上がった。
「エドガー、言い過ぎよ」
 そんな声が背中から聞こえてきたが、そう言われてもエドガーが反省する男でないのはよく知っている。
 どすどすと足音を立て回廊を歩けば、すれ違う人たちが、興味の視線を向けてくる。いつものリネットであればできるだけその視線を受けないように、隅っこを背中を丸めて歩くというのに、今は怒りに満ちているため、他の人の視線など気にならなかった。
 まだ半日だというのに、今日はラウルに振り回されっぱなしだ。平穏な生活を取り戻すためにも、早く彼の呪いを解かなければ。
 そう思って、再度、地下書庫にこもり始めたのだった。
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