【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
3.
一人残されたリネットは、黙々と資料に目を通した。薄暗い書庫だが、魔法灯の光がリネットを包む。
ヤゴル地区には数百年前、ゴル族という部族が住んでおり、呪術が盛んだった。呪術といっても人を呪うとか恨みを晴らすとか、そういった類いだけにとどまらない。例えば、明日の天気を晴れにするとか、豊作を祈るとか、そういった祈祷のような行為も含まれている。
『毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪い』は、先日も彼らに言ったように、両片思いのカップルがゴル族の中にいて、それを見かねた友達が、毎日「おはようのキス」をすることで二人の仲を進展させようとした、というのが起源にある。
(だから、キスの相手は固定……。本来は、想い合った二人のための呪い……)
「う~ん」
誰もいないのをいいことに、リネットは唸りながら、資料のページをめくる。
ゴル族の生活に関する資料だ。この部族は閉鎖的な部族で、他部族との交流を避けていた。そのため、部族間内で結婚するが、どちらかといえば個人の意思が尊重される自由恋愛による結婚が主だった。ただ適齢期になっても相手が決まらない場合は、出会いの場が設けられるらしい。
「って、普通にお見合いでは?」
誰もいないのをいいことに、リネットは一人突っ込みを入れた。
ヤゴル地区には数百年前、ゴル族という部族が住んでおり、呪術が盛んだった。呪術といっても人を呪うとか恨みを晴らすとか、そういった類いだけにとどまらない。例えば、明日の天気を晴れにするとか、豊作を祈るとか、そういった祈祷のような行為も含まれている。
『毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪い』は、先日も彼らに言ったように、両片思いのカップルがゴル族の中にいて、それを見かねた友達が、毎日「おはようのキス」をすることで二人の仲を進展させようとした、というのが起源にある。
(だから、キスの相手は固定……。本来は、想い合った二人のための呪い……)
「う~ん」
誰もいないのをいいことに、リネットは唸りながら、資料のページをめくる。
ゴル族の生活に関する資料だ。この部族は閉鎖的な部族で、他部族との交流を避けていた。そのため、部族間内で結婚するが、どちらかといえば個人の意思が尊重される自由恋愛による結婚が主だった。ただ適齢期になっても相手が決まらない場合は、出会いの場が設けられるらしい。
「って、普通にお見合いでは?」
誰もいないのをいいことに、リネットは一人突っ込みを入れた。