【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「そうだ。そんな感じのことを言われたのだが……さすがにそれを俺が用意するわけにはいかないから、ヒースの妹に頼んだ。今日はちょっと我慢してくれ」
 ヒースに妹がいたことも驚きだが、それよりもいろいろと言いたいことがある。
「いやいやいや、ちょっと待ってください。団長さん! その……ネグリジェも下着も、私、自分で準備できますし……その……今までは、必要性がなかったと言いますか、面倒くさかったと言いますか……別に、見せる人もいるわけでもないですし……」
 顔を真っ赤にしたリネットだが、自分で何を言っているのかすら、わけがわからなくなった。
 ただ、他人と一緒に寝泊まりするというのは、そういったところまで気を使わなければならないのだと、改めて感じただけ。
「お見苦しいものを見せて、申し訳ありません……」
 リネットの頭にはその言葉しか思い浮かばない。
 とりあえず逃げるようにして、浴室へと向かった。彼が言ったように籠にはリネットの着替えがきれいに畳まれている。スケスケのネグリジェの他に、透けない布地のネグリジェがあった。
 ウザいと思っていたラウルだが、これはもはやウザいを通り越して、エドガーの言う保護者が適当なのかもしれない。
 しかもバスタブには、花びらまで浮かんでいる。これは仕事のできる使用人の領域だ。
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