【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
留守をヒースに任せて、ラウルは外に出た。
街はいつもと変わらない。広場にある噴水前では、道化師がくるくるとボールをまわしていた。石畳の広場に子供たちの笑い声が響き、露店の呼び込みも合間に聞こえる。
「お、団長さん」
ラウルの姿を見つけた露店の男が、気さくに声をかけてきた。もはや彼は情報提供者だといっても過言ではないほど。
変わったことはないか、怪しい者を見なかったか、そんな話をする。
ラウルは王都の中心街を一時間ほどかけて歩く。昼間の日差しは、動けば汗ばむ程度。そこに心地よい風が吹き、ラウルは目を細める。人々の喧騒が風に乗って聞こえ、心がほっとやわらぐ。
しかし路地裏を静かに歩けば、家を失った者たちがひっそり息をしていた。彼らが動くのは太陽が沈んでから。ひと目のつかない時間帯だ。だが、見慣れぬ者、まして物がそこに紛れていないか、しっかり確認する。
以前、そうした難民らに混じって、近隣国の間諜が紛れ込んでいたという話もあったからだ。
ここ数年は、そういったことも落ち着いていた。
いつもと同じように街の様子を確認してから、ヒースにすすめられた店へと足を向けた。
街はいつもと変わらない。広場にある噴水前では、道化師がくるくるとボールをまわしていた。石畳の広場に子供たちの笑い声が響き、露店の呼び込みも合間に聞こえる。
「お、団長さん」
ラウルの姿を見つけた露店の男が、気さくに声をかけてきた。もはや彼は情報提供者だといっても過言ではないほど。
変わったことはないか、怪しい者を見なかったか、そんな話をする。
ラウルは王都の中心街を一時間ほどかけて歩く。昼間の日差しは、動けば汗ばむ程度。そこに心地よい風が吹き、ラウルは目を細める。人々の喧騒が風に乗って聞こえ、心がほっとやわらぐ。
しかし路地裏を静かに歩けば、家を失った者たちがひっそり息をしていた。彼らが動くのは太陽が沈んでから。ひと目のつかない時間帯だ。だが、見慣れぬ者、まして物がそこに紛れていないか、しっかり確認する。
以前、そうした難民らに混じって、近隣国の間諜が紛れ込んでいたという話もあったからだ。
ここ数年は、そういったことも落ち着いていた。
いつもと同じように街の様子を確認してから、ヒースにすすめられた店へと足を向けた。