【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 カランコロンとドアベルが明るく響き、店の奥から女性店員が笑顔で出てきた。棚には色とりどりの布地が並び、柔らかな光が店内を明るく満たす。
「いらっしゃいませ。どのようなものをお探しですか?」
 並べられた品は、女性向けばかり。そこに男性が客として入ってきたのだから、店員も察するところがあるのだろう。ましてヒースが言うようにそういった流行があればなおのこと。
 ラウルは恋人に寝間着をプレゼントしたいと、はっきり伝えた。すると女性店員は嬉しそうに顔をほころばせる。
「近頃、そういったお客様が多いんですよ」
 となれば、やはりヒースの言っていた流行はあながち嘘でもなかったようだ。信頼できる部下だが、ときどきラウルの反応を見て楽しんでいるところがあるので、半信半疑のところはあった。
「どのような恋人さんですか?」
 そう言って女性店員は、ラウルからいろいろと話を聞き出し、一枚の寝間着を選んでくれた。薄いピンクの布地で、可憐な花を思わせるようなデザインのものだ。
 リネットは、眠っている姿はかわいらしい女性である。ただ、起きてからの行動が酷い。
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