【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 今朝は帽子を渡した。この帽子は昨日、露店で見かけてリネットに似合うだろうなと、そう思って買ったもの。
 だが寝間着は帽子とは違う。渡すタイミングがわからない。悩んだ末、風呂の準備をするついでに、彼女の洗濯物の籠にそっと置いた。そしてバスタブには、女性店員がサービスで渡してくれたバスフラワーを浮かべる。これはラウルには特別必要のないものだが、彼女であれば喜んでくれるだろう。
 真新しい薄いピンクの寝間着に包まれたリネットは、愛らしかった。思わず全身を舐めるように見入ってしまったが、彼女に声をかけられ焦ってしまう。それらしい言い訳をしてみたが、誤魔化しきれたかどうかはわからない。
 それにラウル自ら寝間着を買いにいった事実を伝えれば、驚いたようだ。だが、今はリネットと恋人同士という設定になっているのであれば、ヒースの言葉を借りて、流行りに乗ったと説明すればいい。
 だが、それを言い終えるや否や、ラウルは浴室に逃げた。
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