【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
第四章

1.

「……おはよう、リネット。そろそろ起きないか?」
 耳元で誰かの声が聞こえ、リネットは瞼を開ける。
「ひっ……だ、団長さん」
「おい、そんなに驚くな」
「え? どこ、ここ? なんで? 私、あちらのソファで寝たはずですが……」
 リネットが眠っていたのはラウルが普段使っている大きなベッドだった。しかし昨夜はふかふかのソファで寝たような気がするし、それをラウルは渋々ながらも了承したはずだ。
 ラウルが言うには、彼が自分の都合でリネットを巻き込んでいるのに、そんなソファで寝させるのは申し訳ないとかそんなことだった。だけどリネットは小柄だから、ソファだって十分に広く、いつも使っているベッドより寝心地がいいと言ったところで、なんとか納得したという流れである。
 それなのに今、リネットはラウルに抱かれ、彼が普段使っている大きなベッドで横になっていた。
「もしかして団長さん……眠っている私に……」
 じろりとラウルを見上げると、彼は笑って答える。
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