【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 むっ? と唇をへの形にしたラウルは、しばし考え込む。その間もリネットを腕の中に閉じ込めたまま。目の前に彼の整った顔があり、どこに視線を向けたらいいのかとリネットは戸惑ってしまう。
「昨日は、特になかったな。目覚めて、君とキスをするまでの間が一番昂ぶっていたかもしれない」
「てことは、今も?」
「そうだな。まぁ、なんとか我慢できる感じだが……」
 やはり一日一回、「おはようのキス」は必要なようだ。ここでキスをしなければ、ラウルは次第に昂ぶり始め、制御できない情欲をまき散らすだろう。
「なるほど。では、これから『おはようのキス』をしますが、しつこいキスではなく、ちゅっと軽めで試したいんです。よろしいですか? よろしいですよね? 軽く唇を合わせるだけですよ?」
 リネットが睨みつけるようにしながら言えば、ラウルも「わ、わかった」とたじたじだ。
「団長さんは動かないでください。私のほうから口づけますから。いいですね?」
 ラウルに主導を握られたら、絶対にしつこいキスをしてくるに決まっている。それでは必要なデータは採れない。リネットとしてはさまざまな条件下でのデータを揃えたいのだ。
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