【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 リネットは葡萄色の帽子を迷わずかぶった。
 するとラウルがリネットの全身をさっと見回した。
 何か言われるのかと思って身構えたが、彼は特に何も言わず、そっと手を差し出してきた。リネットは黙ってその手に自分の手を重ねる。
 これから朝の散歩の時間だ。散歩コースは昨日と同じで代わり映えしないと思っていたのに、昨日より花の蕾が膨らんでいるとか、風があたたかくなっているとか。そんなことに気づいて、リネットも自然と笑みをこぼす。
 小屋の裏でヒースと一緒に猫に餌をやり、ラウルがいる前でラウルの愚痴を言う。寝間着や下着まで用意するのはどういうことだと。
「恋人に寝間着を送るのは流行っているみたいなんですよ。だから私も団長に勧めたんですけどね」
 ヒースまでもがそう言うのであれば、その話も嘘ではないのだろう。
「それから、リネットさんに私の妹を紹介したいのですが……」
 きっとラウルの言っていた下着の件だ。
 ちらっとラウルに視線を向けてみた。彼は気持ちよさそうに寝転んでいる猫のお腹をもふもふとなでていた。
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