【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 ラウルのパンはリネットのものとは違う。具材がたくさん挟み込まれている大きなパンだ。それを一口で半分ほどまで大胆に頬張る。
「見事な食べっぷりですね。胸焼けしそうです」
「言っただろう? 俺たち騎士は身体が資本だからな。特に第七は泥臭い仕事を引き受けているからな。食べられるときに食べて、休めるときに休む」
「へぇ。でしたら私の考えと変わらないじゃないですか。食べたくなったら食べる。眠くなったら寝る」
「それは根本的に違う。俺たちは食べられるときに食べる。君は食べたくなったら食べる。違うじゃないか」
 これといった言葉がわからず、リネットはパンを口の中に入れたまま、じっとラウルを見つめた。
 だが彼はそんな視線をものともせずに、がつがつと食事をすすめている。
 またどこか悔しい気持ちが、リネットの心の中に湧いてきた。だけど反論しても何かと言い返されてしまう。しかもそれが的を射ているから、歯がみしてしまう。
 なんとなく気まずい雰囲気を感じ取ったのか、ラウルが騎士団で飼っている猫の話題を振ってきた。今は五匹いる猫だが、すべてラウルが拾ってきたとか。
 スープをすすりながら、リネットはそんな彼の話に耳を傾けていた。
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