【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 息苦しくなり、鼻息も荒く、心臓も痛いくらいに動いている。これ以上、キスを続けるのは危険だ。
 リネットは自由になる手で彼の胸をトントンと叩いた。
 だが彼のキスはもっと粘着を増してくる。
「ふぁっ……」
 苦しさに堪えられず呼吸しようとした瞬間に、彼の舌は口腔内に入ってきた。ざらりとした感触が口の中を侵す。
「ん、んんっ!」
 背筋がぞくりとし、リネットは必死になってラウルの胸を叩いた。
 それによって唇がやっと解放される。
「おはよう、リネット」
 キスの前後に必ず「おはよう」と言わなければならない。それが「おはようのキス」の約束事である。
「ふぅ……。団長さん、今日もキスがしつこいです」
 リネットが必死になって訴えても、ラウルは「そうか?」と平然と言い返す。
「だが、朝のようなあんな軽いキスでは、むらむらすることがわかった。俺のしつこいキスも意味があったというわけだ」
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