【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 いつかのリネットのように、腰に両手を当て胸を張るラウルだが、リネットはそれを「はいはい」とあしらう。
「では、私への用は済みましたね? 今、いいところだったんです」
 リネットはすとんと椅子に座り直し、先ほどまで読んでいた本に視線を落とす。
 しかしその本がリネットの視界からするっと消えた。
「あ、団長さん。何をするんですか!」
 今までリネットが見ていた本は、ラウルの手の中にある。
「俺がここに来たということは、休憩時間になったということだ。ほら、昼ご飯を食べにいくぞ」
「え? もうそんな時間ですか?」
「そうだ」
 ラウルは手にした本をパタンと閉じて、机の上に置いた。
「適度な休憩も必要だ。考えが行き詰まったときなんかは、特にな」
 まるで心の中を読まれたような発言に、リネットは顔をしかめる。
「そんな顔をしても駄目だ。とにかく、昼飯だ」
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