【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 いつものように「お腹が空いていない」と言おうとしたリネットだが、集中力が切れたとたん、一気に空腹を覚えた。
「わかりました。団長さんの相手をしてお腹が空いたので、お付き合いします」
「そうか。俺のせいでお腹が空いたなら、よいことだ」
 はははは、とラウルが勢いよく笑うから、リネットは慌てて「しー」と唇の前に指を立てる。
「いくら人がいないといっても、ここは図書館ですから。静かにしてください。それに、本来であれば図書館内でのキスも禁止ですからね。今は緊急事態だったので仕方がなかったということにしておきますが」
 バンとテーブルに手をついて、リネットは立ち上がる。
「それで、食堂ですか?」
 食堂は昨日のこともあるので、行きづらい。
「なんだ? 食堂じゃないところのほうがいいのか? 天気もいいからな。外で食べようか?」
 その言葉にリネットはしばし考え込む。
「……外は眩しいから駄目です。私、溶けます」
「なら、食堂だな。午後からは訓練があるから、早めに戻りたいんだ。残念ながら、外の店に食べに行く時間はとれそうにない」
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