【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「俺が何かしたか?」
「団長さんはエドガー先輩と顔の系統が似ていますから、女性の視線を集めるんですよ。そして私は、人の視線が嫌いです。注目されるのは苦手です。そこにいるかいないかわからないような、そんな空気のような存在になりたいです」
 リネットはできるだけ目立たないようにと肩を丸める。できることなら、ラウルの身体の影に隠れたいくらいだ。
「空気のような存在って……俺にとってはある意味、君はまさに空気のような存在だな」
「ん?」
「君がいないと生きていけない。空気と一緒だろ?」
 ラウルはパンを二皿取った。リネットは一皿だ。
「まぁ……そうかもしれませんが。お付き合いをしている女性に対して、おまえは空気だなんて言う人はいないかと思います」
 リネットはスープもとった。パンとスープ。これだけあれば、十分だ。
 ラウルはそこに分厚いステーキ肉と、サラダも合わせた。
「一緒で」
 会計で、ラウルはリネットの分もまとめて支払いをした。
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