【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 食事をのせたトレイを手にして、空いている席を見つけるとそこに二人並んで座る。
「団長さん、私の分のお金……」
「だから、いいと言ってるだろ?」
 昨日も昼食代をラウルが払ってくれた。昼食だけではない。夜の外食分も。そして朝食はラウルが部屋にまで運んでくれるから、これもラウルの支払いだ。
「まぁ……迷惑料だと思ってくれればいい」
 彼はリネットに何かを渡すときは、いつもそう言う。
 変な呪いに付き合わせていることを、彼は彼なりに気にしているのだろう。
「では、遠慮なくいただきます」
 くれると言うのなら素直に喜んでもらっておく。今まで、こうやってリネットに何かと贈り物をしてくれる人はいなかったのだから。
「相変わらず、量が少ないな。ほら、これも食べろ」
 ラウルは小さく切った肉をフォークに刺して、リネットの顔の前に出した。
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