【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「リネット。俺はここにいる」
 ランプがぼんやりと照らすリネットの眉間には深いしわが刻まれている。ラウルはそっとリネットの額に触れた。すると彼女の表情が和らいだ。
 やはり怖い夢でも見ていたのだろう。起きているときは何事にも動じず淡々としているし、朝方の寝顔はどこかあどけなさが残る。こんなに怯える彼女を見たのは初めてだった。
「リネット……もう、大丈夫そうか?」
 寝ている彼女にラウルの声が聞こえるわけでもない。だというのに、そう確認せずにはいられなかった。
 返事の代わりに聞こえてきたのは、穏やかな寝息。
 しばらくその様子を見ていたラウルだが、リネットが落ち着いたところでベッドに戻ろうとした。
「んっ?」
 何かに引っ張られるような感覚があり振り返れば、リネットがしっかりとラウルのシャツの裾を掴んでいた。
 これではラウルもベッドに戻れない。しかし、明日のことを考えれば今夜はしっかりと休んでおきたいところ。
(仕方ない)
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