【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
第五章

1.

「あ~。それはラウルさんも怒りますね」
 昼休憩の時間、リネットはシーナを昼食に誘った。相談したいことがあると言えば、彼女は快く応じてくれた。
 第七騎士団付きの文官の彼女は、騎士団宛ての書類を受け入れ、仕分け、運び、管理するのが仕事だ。
 魔法師も騎士も国によって管理されている人間だから、どちらも王城と同じ敷地内に建物があり、歩いて行き来できるのだが、リネットは騎士団の建物に足を運んだことがほとんどなかった。
 今日も図書館の地下書庫で呪いについてひたすら資料を読み込んでいたら、ラウルが昼食の時間だと呼びにきた。
 しかし今朝、彼からこっぴどく叱られたリネットは気まずい思いをしており「シーナさんと約束していました」と言って、ラウルを追い返した。
 実のところ、シーナと昼食の約束なんて、これっぽっちもしていない。
 だがラウルにそう言った手前、シーナと一緒に昼ご飯を食べようと思ったのだ。シーナがいないことも考えられたが、そのときはそのとき。ラウルに対しての言い訳なんて、なんでもいい。
 そう思って彼女を昼食に誘いにいったら、快く応じてくれた。
「どうせなら外の店に食べにいきましょう」というシーナの提案で、二人は今、とろけるようなお肉のスープを口に運んでいる。
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