【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 しかしリネットには、なぜ彼がそのようなことを言ったのかがわからない。
「団長さんは、おかしなことを言うんですね」
「おかしなこと?」
「だって……女は身体を差し出せばいいって……男の欲のはけ口だからって……私は、そう言われていたので……」
「なんだと……?」
 ラウルの声が、いっそう低くなる。その声には怒りがにじんでいたが、リネットに向けられたものではないことはすぐにわかった。
「誰がそんなことを? スサ小国の教えはそうなのか?」
「ち、違います」
 リネットは慌てて手と首を横に振った。スサ小国にいる両親が、そのような考えの持ち主だと思われても困る。誤解を解きたい一心で、言葉を放つ。
「スサではそのようなことは言いません。私、スサには十四歳のときまでしかいなかったので……その……男女のあれこれがよくわからないのです……」
「だったら、誰がそんなことを君に吹き込んだんだ? これは、男の沽券にかかわる話だ。すべての男がそのようなことを思っていると思われたら心外だ。いったい誰だ? そんなふざけたことを言ったのは」
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