【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私

3.

 リネットは、また知らぬうちに眠っていたようだ。
 もう一度目が覚めたときには、頭痛はどこかに消え去っていた。
 身体を起こして室内を見回すが、ラウルの姿は見えない。リネットを寝かしつけ、また仕事に戻ったのだろう。彼だって騎士団の責任ある立場にある身。いくら訓練が五時に終わろうが、それ以外にもやるべきことがあるだろう。
 ベッドから降りたリネットは、すっきりとしていた。あれほど頭が痛かったのが嘘のよう。
 となれば、これからでも地下書庫に戻り、資料の続きを読みたい。しかし、図書館の閉館時間が近いように思える。室内は真っ暗ではないが、カーテンの向こう側が燃えるような夕焼けに染められているのがわかった。
 リネットは与えられた隣の部屋へと移動した。
 今日は朝からラウルを怒らせてしまい、記録どころではなかった。
 この部屋も、リネットにとっては居心地のいい場所だ。静かに本を読んだり、調べ物をしたりするにはもってこいの空間だ。机に向かって座り、いつもの帳面を広げる。
 ラウルとキスをした時間、キスの長さ、しつこさ、そして症状の具合について。
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