【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 リネットは用済みとなるだろう。いや、はじめからそういった約束だったのだ。
 だから彼の呪いが解けたら、リネットは元のずぼら生活に戻るだけ。寝たいときに寝て、食べたいときに食べ、基本的には自室と研究室の往復のみの生活。例えそれが、不規則な生活と言われようが、今までそうやって生きていたのだ。
(私、今の生活を楽しんでいる……?)
 ラウルの部屋に移ってきて、まだ十日ほどしか経っていない。
 だというのに、朝早くから散歩をして、しっかり三食食べるこの生活に喜びを感じていた。
 でもその生活が楽しいのは、ラウルが共にいるからだ。ご飯を食べるときも散歩に行くときも、そして寝るときも、リネットの側には必ずラウルがいる。
(私、団長さんと離れたくないんだ……)
 だから彼の呪いが解けてしまって、今の生活が終わってしまうのが怖いのかもしれない。
 ラウルの呪いが解ける。それは、偽りの恋人関係を終わらせる起因となる。
(呪いが解けても、団長さんと一緒にいるためにはどうしたらいいんだろう?)
 そこではたと思い出されたのが、シーナの言葉だ。
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