【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私

4.

 浴室から出たリネットを待っていたのは、冷たい飲み物を用意していたラウルだ。
「喉が渇いただろう? 風呂上がりに適度な水分補給は必要だ」
 微かに酸味を感じる程度の果実水は、火照った身体に心地よい。
「ありがとうございます」
「では、俺も風呂に入ってくる」
 浴室に向かうラウルの背を、リネットはぼうっと見つめていた。
 ラウルが戻ってきたら、先ほど中途半端になってしまった過去の話を伝えよう。
 そう考えたら、変に緊張してきた。ドクンドクンと鼓動がうるさい。これほど心臓の音を感じるのは、初めてかもしれない。
「リネット?」
 いつの間にかラウルが戻ってきていた。少し毛先が濡れ、前髪が下がっている。
「あの、団長さん……」
「なんだ?」
 彼も冷たい飲み物の入ったグラスを手にすれば、リネットの隣になんの迷いもなく腰を落ち着ける。
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