【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「まさか、リネットからそんなことを言われる日がくるとは思わなかった」
 よっぽど楽しいのか、彼はグラスに残っていた葡萄酒を一気に飲み干し、二杯目を注いだ。
「それで? 君の話とは?」
 話が脱線して本来の目的を忘れそうだったところを、ラウルが軌道修正してきた。
「あ、はい。私がここに来る前のお話です。先ほどもいいましたが……」
 そこでリネットは、十四歳のときにスサ小国からキサレータ帝国へと連れていかれ、そこで皇帝アルヴィスの側妃として約四年間、過ごしたことを話し始めた。
 キサレータ帝国で魔法具を作らされていたこと、アルヴィスはそれを用いて属国を脅していたこと、そしてリネットが成人を迎えてから彼にされた仕打ちなど。
 ラウルの表情は真剣そのもので、リネットの言葉を聞き漏らさないようにと耳を傾けている。
「……ですから、その……今朝の件ですが……」
 リネットがそう言いかけたところで、ラウルのこめかみがぴくっと震えた。
「私は、いつも団長さんによくしてもらっているので。だから団長さんが苦しんでいるなら、助けたかっただけです。その……まぁ、そういったことを帝国で……」
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