【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「そうですね……あ、私の荷物、ありますか?」
「あぁ、あったよ。粗末な肩掛けの鞄」
「その中に、帳面は入っていますか?」
「ちょっと待って」
 指についたジャムをペロッとなめ、その手をごしごしと服の裾で拭いてから、エドガーは立ち上がる。先ほどまでリネットが寝ていたベッドの側に鞄が置かれていた。
 それを手にしたエドガーはベッドの上で鞄をひっくり返した。ざざっと中身が広がる。
「あぁ、あるよ。帳面。あとは、ちょっとした着替え……? は? よくこれだけの荷物で、ここまで歩いてこようと思ったね」
 エドガーの呆れた声が聞こえてきたが、リネットは気にもとめない。
「で? これには何が書いてあるの?」
 さらにエドガーは、リネットの帳面の中身を勝手に確認するものの、それでもリネットは黙々とパンを食べていた。
「おいおいエドガー。女性の荷物を勝手に漁らない。そしてリネットも、もう少し自分の荷物に関心を持とうか?」
 あっけにとられた様子で二人に声をかけるブリタ。やれやれとでも言いたげに、肩をすくめる。
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