【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 第一騎士団の言葉に頷いてみせるものの、ラウルの頭の中では、同行する魔法師はリネットで決まりだった。
 何より、ラウルの呪いはリネットと毎日キスをしなければ発情し、最悪死に至るという厄介なものだ。ヤゴル遺跡にどれほどの期間滞在するかわからないが、リネットと離れることは考えられない。
 また、彼女自身もヤゴル遺跡を訪れたいと望んでいた。ラウルの呪いを解く手がかりを求めてのことだ。
 リネットは、ラウルが呪いを受けてから一か月ほど経つと、どこか負い目を感じているようだった。時折自責の念を感じた。
 ラウルはそんなリネットを励ますため、「君さえそばにいてくれれば、俺はこれまで通り生きていける」と伝えたが、彼女がどう思ったのかは定かではない。そう伝えたときの彼女の微笑みは、どこか曖昧だった。
「では、魔法師の人選は任せていただけますか?」
 ラウルが静かに提案すれば、第一騎士団の団長は即座に答える。
「ああ、問題ない」
 ラウルの胸には安堵が広がった。やはり同行させる魔法師はリネットしかいない。
 会議を終えたラウルは、その足で魔法院へと向かう。第一騎士団の団長と国王のサインの入った依頼書を、魔法師長ブリタへ提出するためだ。
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