【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 スープをすくおうとしたところ、リネットの苦手な干し肉が入っていた。きょろきょろと周囲を見回してからそれをスプーンですくい、ラウルのお椀に入れる。
「おい」
「だって、それ……嫌いなんです。変な味がするんです」
「こういう遠征先では、貴重なタンパク源だ。色の濃い野菜と一緒に食べればいい」
 ラウルのスプーンの上には干し肉と人参がのっている。
「食べなさい」
 リネットの口の前に差し出された。これはリネットが食べるまでラウルが引かないいつものパターンだ。もう一度大きく周囲を見回すと、彼らは食事をしながら談笑に耽っている。その隙にパクッとスプーンを口に含んだ。
「どうだ? 食べられそうか?」
 もぐもぐと口を動かすリネットだが、人参を食べた後にほのかに肉の臭みを感じた。
「食べられないことはないですけども、あまり積極的に食べたいとは思わないです」
「だが、俺たちは食べられるときに食べる」
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