【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「俺にとっては不十分だ。リネットが足りない。いや、飢えている」
 かぷっと首元を甘噛みしてきた。
「ひゃっ……や、やめてください。外に声が聞こえるじゃないですか」
 外の声がテントにまで聞こえてくるのだ。その理屈を考えれば、テントの声だって外に聞こえるはず。
「俺だって、君のかわいらしい声を、他の男に聞かせたくない」
「では、やめましょう。あ、わかりました」
 そこでリネットはラウルの手を振りほどくようにして、身体の向きを無理やり変えた。
「こうやって一緒に寝ているからダメなんです。別々に寝ましょう」
 リネットがラウルの腕から這い出ようとするが、すぐに囚われる。
「ダメだ。リネットが足りないと言っているのに、別々に寝るなんて言うな。俺は君に飢え死にする」
 すんすんと匂いを嗅ぐようにして、首元に顔を埋め、先ほど噛んだ場所を舐め上げる。
「あっ……ダメ、触らないで……」
 ラウルがプレゼントしてくれたネグリジェは、いとも容易く彼の手を受け入れてしまう作りだ。いつの間にか、胸元のリボンは解かれていた。
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