【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 抑揚のない声で返事をしたリネットは、防音魔法具をラウルに返した。
「では、おやすみなさい」
 今までの恥ずかしい声も、外には聞こえていなかった。それだけでも安心だ。ささっと胸元をしまう。
「おい、待ちなさい」
「ひぃっ……」
「眠れないのではなかったのか……?」
 目も慣れてきたから、ラウルの顔がはっきりとしてきた。
「リネット。俺は君を愛している……」
 すべてを見透かすような真剣な眼差しを向けられ、リネットの心は弾む。
「は、はい……」
 トクトクと心臓は忙しない。
「俺の呪いが解けたら、君に言いたいことがある……」
 愛していると言ってくれただけで嬉しいのに、それ以上にどんな言葉があるのか。ラウルだからこそ、期待してしまう。
「わかりました。私も、早くラウルさんの呪いが解けるように、頑張ります」
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