【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私

4.

* * *

 ラウルは久しぶりに王城に呼び出された。はっきりいって気が重い。できることなら逃げようと思ったくらいだが、それは相手にも読まれていた。
「迎えにきた。そうしなければ君はすぐに逃げるだろう?」
 それは、執務室でヤゴル遺跡の調査における会計処理をまとめていたとき。ノック音とともに姿を現したのはイアンだった。
「相変わらず、俺のことをよくわかっている」
「それは、私のことを言っているのか? それとも陛下か?」
「どっちもどっちだ、宰相補佐官殿。おまえに来られたら、俺は逃げられない」
「だから、陛下もわざわざ私を使ったのだろう? ほら、立て。さっさと行くぞ」
 イアンは駄々をこねかけたラウルの首根っこを捕まえる。
「今まで放っておいたくせに、なんで急に呼び出すんだ?」
 渋々と立ち上がったラウルは、不機嫌そうに尋ねた。
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