【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「結婚を考えている女性がいると聞いた」
「そうですね」
「相手は魔法師だと? まぁ、公共の場で仲睦まじいという話は、私の耳にも届いていたが……」
 リネットは、出会ったときから世話の焼ける女性だった。寝ない、食べない、動かないと不健康まっしぐらの生活を送っていたのだ。
「ブリタが言うには平民らしいな」
「そうですね」
「私がそなたの相手に、平民を認めると思うか?」
 そこで国王はすごみを効かせてくる。まるで、ラウルの結婚を認めないとでも言うかのように。
「あなたには関係ありません。義父さえ認めてくれれば……」
「なるほど。では、伯爵には認めないようにと、私が言えばいいだけだ」
「俺の……いったい何が気に食わないのですか? 存在そのものですか? だったらあのとき、殺しておけばいいものを」
 国王はラウルと同じ青い目を細くし、ふんと鼻で笑う。
< 287 / 339 >

この作品をシェア

pagetop