【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 わざとらしいくらいに、イアンがぽんと手を打った。
「皇帝が来るらしい」
「ん?」
 一瞬、なんのことか理解できず、ラウルは聞き返す。
「いや……ヤゴル遺跡の件だ。皇帝自ら謝罪のために足を運ぶとか、そんな話になっているらしい。律儀なことだな。まぁ、帝国としてもセーナスとは仲良くしておきたいんだろう?」
 ラウルにはピンとくるものがあった。それは先ほどの国王との話に繋がるもの。
 ――あそこは独身女性を側妃という名目で連れ去ることをする国だ。
 リネットがこのセーナス王国にいることを、皇帝が知っているかどうかはわからない。他の魔法師の女性を連れ去るのが目的だったとしても、そこにリネットがいたらどうなるのか。
 一度捨てたリネットをもう一度側妃とするか。それとも他の女性魔法師を選ぶか。
 そもそもキサレータ帝国に魔法師を奪われない制度というのであれば、キサレータ帝国は魔法師を欲しがっていると解釈していいだろう。
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