【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「うわぁ、師長。ありがとうございます。お母さんみたい」
「お母さんねぇ?」
 ブリタは苦笑するものの「おばあちゃんと言われなかっただけ、まだマシかな?」と付け加える。その声には、どこか愛嬌と自嘲が混じっている。
 それでも寝起きのリネットは、歩いているだけだというのにあっちへふらふらこっちへふらふらと、真っすぐに進まない。あきれたブリタは、そんな彼女の手を引っ張って、治療室へと向かった。
 石造りの廊下を進むたびに、ブーツの音がコツコツと響き、魔法院の歴史ある雰囲気が二人を包む。
「おまたせ。魔法師一番の解呪師を連れてきたよ。そう見えないかもしれないけど、腕は確かさ」
 ブリタの言葉とともに治療室の重い扉を開けると、室内は異様な熱気に包まれていた。まるで夏の森に迷い込んだような、むっとする空気。リネットの寝ぼけ眼も、一瞬で覚めた。
「おそよう、リネット」
 先輩魔法師のエドガーが、ニヤリと笑いながらリネットの顔をのぞき込んできた。
「エドガー先輩のイケメンっぷりは寝起きに悪いので、あっちに行ってください」
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