【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 アルヴィスが持っていた違法薬物は、彼がキサレータ帝国から持ち込んだものだった。リネットを狙う彼ならそのくらいのことはするだろうと、関係者は予測していた。
「つまり、私は囮のようなものだったと?」
「ようなものでなはく、完全に囮だ。申し訳ない……」
 だからこそ、あのタイミングでエドガーがアルヴィスの部屋に踏み込めたのだ。
 そしてアルヴィスがモアに接触を試みようとするのも、想定の範囲内だった。何よりリネットには友達が少ない。シーナかモアか。
 アルヴィスの訪問が決まってから、モアが積極的にリネットに近づいていたのは、リネットと親しい関係だと周囲に思わせるためだった。
 セーナス王国に潜むアルヴィスの手下や諜報員に、リネットとモアの関係を見せつける。そして彼らは見事にその罠にはまった。
「すまない。俺は反対したんだが……君との結婚話をちらつかされ……負けた」
 一気に怒る気が失せた。いや、そもそも怒りなどない。
 仮にこの作戦をリネットが聞いていたとしたら、アルヴィスに萎縮して何もできなかった。知らなかったからこそ、囮として貢献できたのだ。リネットもセーナス王国の魔法師。国によって管理され、国に使われる人間だ。貢献できたのであれば、何より。
「あ、そういえば……ラウルさんは大丈夫だったんですか?」
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